モモは、いつも蓮華の季節になると、れんげ畑を歩いて、歩いて何処まで行けるのかと思いひたすら歩いた。
蓮華を踏みつけて歩くと青臭い香りがして妙と嬉しくなってくる。
その頃には、日も長くなっているので、時間もわからず歩いて気づくと、急に暗くなって振り返る。家が小さくなって見える。
(どうしたらええんや~)
前にも後ろにも動けない。足元の蓮華の花がまだ見える。
(今夜は蓮華のベットで寝るか~)と大の字になって寝てみる。
(このまましてたらお星さん見えるんやな~。綺麗やろうな~。)
「こんなとこで何しとるんや。何時やおもってるんや!」お母ちゃんや!
「とことこ歩いて、アホやな。おかあちゃんが見てないと思ってたんか。心配ばっかりかけよって。」
てな具合で、あっけなく最初の家出は取り押さえられて、れんげ畑を手が千切れるほどに引きずられて帰っていった。
お父ちゃんがお風呂で「お父ちゃんと風呂入れんでもええんか?」と聞いた。
「いやや、入りたい。」 お父ちゃんは、笑ってた。
懲りないモモはその後も数えきれないくらい同じ事の繰り返しを続けたが、いつも同じ、お母ちゃんには見えないもんが無いんやろうか~。
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