お昼寝の香り
保育園で夏になるとお昼寝の時間があった。
腹膜炎になったことで二年保育が一年保育になってしまった。
その間に引っ越しをした我が家は、前の地区の保育園の方が近くにあったことと、二年前にそこへ入るようになっていたので最初から決めていたところへ通園することになった。
そこはお寺の私立の保育園だったからか、母は私が通った一年間、給食室に勤務した。母一人しかいなかったので、給食のおばさんとは言われず、給食室の先生と言われて私はうれしかった。保護者同伴なので私に何かあったときは園としても安心だったろう。もちろん母が一番安心だったろうと思う。
問題児モモちゃんはここからその頭角を現していくのだが。
お昼寝の時間になるとお寺の本堂で園児全員が並んで寝る。お寺の本堂を吹く風は心地よくて皆順に眠りにつく。先生がひとりづつ寝たのを確認すると、お約束のように「モモちゃんもお昼寝の時間ですよ。先生がいるからね。大丈夫。」と最後の確認にやって来る。私の瞼はなかなかとじなくて毎日これだ。
どの先生が来ても私はガンとして寝ようとしない。ところが、ソタニ先生が添い寝をしてくれて、私の胸をトン、トン、トン…と子守唄のリズムで叩いてくれる。きれいな顔にニキビの跡があって、その顔が目の前にくると、ふわ~といい香りがして私を気高き世界に導いてくれた…。気づいた時にはお昼寝から起こされてた。ソタニ先生の香りが私の保育園でのお昼寝の思い出。本堂の匂いじゃなくて、お釈迦様には申し訳ないことでした。合掌
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